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オーガニックとは?

(『Organictown』2005年版 [オーガニックの基礎知識Q&A17] より転載)

「オーガニック」「有機」・・。言葉の意味は知っていても、実際の生活まわりには、これはなに?なぜ?と戸惑うことがらがあふれています。そこで、だれもが感じているオーガニックに関するさまざまな疑問を、Q&Aにまとめてみました。

Q1 オーガニック(有機)農業の考え方が始まったのはいつ?その理由は?

ほんの100年前にはオーガニック(有機)農業などという言葉はありませんでした。なぜならその頃はまだ化学合成した農薬や肥料はなく、農業はすべてが有機農業的なものだったから。有機農業という考え方は、農薬や化学肥料を使い、効率最優先で作物を作ろうとする近代農業が成立してはじめて出てきたものなのです。いわば近代農業のアンチテーゼ。欧米でも日本でも、有機農業は近代農業への反省や批判からスタートしました。
「オーガニック」という言葉は、20世紀の前半、イギリス人のAハワードがインドの農場で「オーガニック栽培方法」を確立してから使われるようになりました。この栽培方法を実践したのが、アメリカのJ.I.ロデールで、1942年に「オーガニック栽培と園芸」という雑誌を作り、オーガニックという言葉を世に広めました。
実際に各地でオーガニック(有機)農業への関心が高まったのは、農薬が人体や環境に及ぼす害や、化学肥料が土壌を損なうことが明らかになってきた1960年代。特に、レイチェル・カーソンが農薬使用に警鐘を鳴らした『沈黙の春』の出版は、多くの農業従事者や消費者に危機意識を呼び覚ましました。
日本でも、1971年にそれまで個々に有機農業に取り組んできた農業従事者や学者たちなどによって「日本有機農業研究会」がスタート。世界的な組織としては72年に「国際有機農業運動連盟」が結成され、現在では100カ国以上から団体が加盟するまでになっています。

Q2 有機の定義って何? 何かはっきりした基準や規定はあるの?

ひと口に言ってしまえば、有機農業とは農薬や化学肥料に頼らない農業のこと。その根底には、自然の持つ力を生かし、環境との調和を大切にして作物を育てようという姿勢があります。
とはいえ、日本ではつい最近まで有機に関する公的な基準がなく、ほんの一部に有機肥料を使っているという程度でも有機を名乗り放題という時代が続いていました。有機は基本的に無農薬無化学肥料が原則なのに、有機低農薬などという表示もまかり通っていたのです。しかし、2001年4月から、JAS(日本農林規格)の中に有機認証制度が導入され、信頼性は格段に高まりました。
この制度では、化学合成農薬・肥料ともに2年以上(果樹や茶などの多年生作物の場合は3年以上)使用していない土地で栽培されたものにのみ、有機JASマークをつけることができます。そして、有機JASマークがなければ、パッケージや商品名に「オーガニック」や「有機」を名乗ることはできません。もちろん、有機JASの基準では、遺伝子組み換えや放射線の照射も許されていません。

Q3 加工食品にも有機はあるの? その場合の定義は?

たとえば納豆や漬物といった農産物の加工品の場合は、水と塩を除いた農産物および農産物加工食品原料のうち、有機以外のものが5%以下のものだけが有機農産物加工食品として認められ、有機JASマークを表示することができます。この有機農産物加工食品では、添加物についても細かな規定があり、有機の規格に合った一部のものしか使えません。また、遺伝子組み換え作物については、安全性が確認できていないため、有機農産物加工食品の原料には一切使用は認められていません。

Q4 すべての食品に有機やオーガニック表示の規定はあるの?

目下のところ、有機JAS認定をとらないと有機やオーガニックの表示ができないものは、農産物と農産物の加工品だけです。牛乳やチーズ、バターといった乳製品、卵や肉、魚介類やその加工品は対象外。ですから、有機ポークとかオーガニック卵などと表示するのは自由で、信頼できるかどうかは、私たち個人個人で判断するしかありません。また、お酒やみりんは管轄が農水省ではなく国税庁。そのため、有機JASマークはつきませんが、有機JAS同様の厳しい基準が定められていて、クリアした品だけが「有機農産物加工酒類」として「有機」や「オーガニック」の表示ができることになっています。

Q5 有機食品って、ホントに信頼できるの? その理由は?

かなり信頼度の高いものであるといえます。それは、第三者機関による検査認証が義務づけられているからです。
有機JASマークを表示して「オーガニック」や「有機」を名乗るには、農林水産省に登録されている認定機関による検査認定を受けなければなりません。認定は書類の審査と、実際に検査員が現地におもむいてチェックする実地検査とで行われます。また、この厳しい検査を経て首尾良く認定されたらそれですべてOKというわけではなく、最低1年に1度は監査を受けなければいけないことになっています。
ただし、有機JAS認定は生産者の求めに応じて行われるもの。小規模な生産者にとって認定を取るのは大仕事ですから、有機の生産者すべてが認定をとっているわけではありません。そもそも、有機農産物や加工食品の売買は、消費者が生産者から直接購入する形で始まりました。そういう「顔が見える」信頼関係がベースにある場合なら、第三者認証に頼る必要はなく、「わざわざ有機JASを取らなくても」という生産者がいても不思議ではないわけです。しかし、現在では店やスーパーでの取り扱いも増えてきています。店頭で買うような場合には、有機JASマークが商品選びの鍵として大いに役立ってくれるはずです。

Q6 日本国内で有機農産物はどのぐらい作られている?

有機への関心はかなり高まってはいるものの、残念ながらまだ農家の数も生産量もごくわずかなのが現状です。平成17年3月末の時点で、全国で有機JAS認定を取得したのは、農家が1422、加工業者が2686。ちょっと古いデータになりますが、平成15年度の野菜の総生産量1672万7千トンのうち有機JAS認定を受けているものは2万8125トンで、有機の割合としては0・17%。果樹に関しては367万8千トンに対して2163トンで0・06%、米は779万2千トンに対して1万838トンで0・14%、お茶の割合はやや多く、9万1900トンに対して1487トンで1・62%。農産物全体で見ると、認定をとった有機農産物の占める割合は0・16%となっています。

Q7 「無農薬」や「減農薬」、「特別栽培農産物」ってどういうこと?

現在では、無農薬や減農薬、無化学肥料や減化学肥料といった表示は許されていません。代わりに、農林水産省の「特別栽培農産物」ガイドラインに基づいて、農薬と化学肥料両方をその地方の平均的な使用量の半分以下に抑えて栽培した作物には、「特別栽培農産物」の表示をすることができるようになっています。
ただし、有機JASのように第三者が認定するわけではありませんから、信頼できるかどうかは生産者次第。また、無農薬や無化学肥料をうたったからといって罰則があるわけではありません。もしそうした品を店頭で見かけたら、それは不確かな品か、不勉強な生産者が表示した品、ということになります。

Q8 有機転換期間中という表示はどういう意味?

有機JASマークと一緒に「有機転換期間中」と書いてあるのは、有機JASの基準に合った方法で1年以上栽培しているが、2年(多年生作物は3年)にまだ満たないということを意味しています。これを表示するためには、有機JASを表示するのと同様に認定を受けなければなりません。有機JASに比べると、不完全なイメージを受けるかもしれませんが、年数が少々足りないだけで、信頼性は有機JAS表示と同様です。
有機栽培へ転換するには、一時的に収穫量が落ち込んだり、害虫の被害を受けるなど、たいへんな苦労を要します。つまり、「有機転換期間中」と表示された品を買うことは、有機農業への意欲と誠意のある生産者へのエールにもなるのです。

Q9 食品添加物って必要なの? 有機JAS認定で規制は?

農産物にとっての農薬と同じように、食の安全性の観点から加工食品で気になるのが食品添加物の問題でしょう。とはいえ、添加物に関しては農薬や化学肥料のようにただ使用をやめればいい、というわけにはいきません。たとえば、豆腐がにがりを加えなければ固まらないように、加工食品を作るには欠かせない添加物もあるからです。
問題なのは、食感や味、見た目を改善する、いわば「ごまかし」の添加物が数多く存在することでしょう。それぞれ安全な摂取基準が設けられているとはいっても、何種類もの添加物が複合した場合にどんな影響が出るかわからないといった不安もあります。
こうしたことを受けて、農産物加工食品の有機JAS規格では、添加物の使用に関しても、かなり厳しいルールを課しています。添加物として使っていいのは、その製品を作るために必要な最小限度のもののみ。使える添加物の種類も、国際規格に沿って細かく決められています。

Q10 キャリーオーバーって言葉をよく聞くけど、どういう意味?

加工食品に使われる原料の中には、それ自体がすでに加工を施された食品も含まれます。こうした場合、原料となる加工食品に使われている添加物は、原則として表示の必要がありません。これがキャリーオーバーです。
たとえばかまぼこなど魚肉練製品は、多くの場合、生の魚からではなく専門の業者が作ったすり身を原料として作られています。すり身の大半にはプリッとした食感を出すためにリン酸塩が加えられていますが、このリン酸塩はかまぼこの添加物としては表示しなくていい、ということになるのです。
加工食品は使っている添加物のすべてを表示するのが原則。そんな中でキャリーオーバーは大きな抜け穴として問題視されています。

Q11 有機味噌と有機大豆使用の味噌。いったいどこが違う?

有機JASマークをつけることができるのは、有機味噌のほう。大豆も、麹に使われている米(もしくは麦)も有機栽培のものでなければ有機味噌の表示はできず、塩を除く原料の95%以上が有機で、かつ有機JAS認定を受けた品ということになります。
一方、有機大豆使用の味噌の場合は、有機栽培なのは大豆だけ。麹に使っている米(もしくは麦)は有機ではない、ということになります。特に基準や罰則もないので、使っている大豆のすべてが有機なのかどうかという点も問題です。つまり、「有機○○使用」という表示は、原材料の一部に有機のものが使われていることを表しているにすぎません。有機原料を使っているのは企業の姿勢として素晴らしいと思いますが、認定を受けているものとは大きな差があるということを覚えておいてください。

Q12 水耕栽培の野菜って多いの? 有機のものもあるの?

水耕栽培とは、土に植えずに植物に必要な養分を溶かし込んだ液で作物を育てる栽培方法です。クリーンな環境の中、葉物野菜を無農薬で育てることができるため、スーパーなどに並ぶ野菜の中にも水耕栽培品が増えてきています。
サラダ菜やハーブ類、ベビーリーフなどにはこの水耕栽培が数多く見受けられます。アクが少なく柔らかなのが特徴で、ほうれんそうや水菜、小松菜などもサラダ○○と名がついているものはほとんどが水耕栽培です。
しかし、無農薬で育てることができるといっても、自然の力を生かし、自然に即した栽培方法とはいえないので、有機農業とコンセプトはまったく異なります。

Q13 遺伝子組み換え作物って、品種改良とはどう違う? 何が問題なの?

遺伝子組み換え作物とは、他の生物の遺伝子を組み込んで人為的に新しい作物を作るもの。作物の中からある特性が強い株を選び出して交配し、よりよい特性をもった作物を作り出す品種改良とは根本的に異なります。
今主流なのは、除草剤を撒いても枯れないとうもろこしや大豆などの除草剤耐性作物(つまり、作物への影響を気にせずにどんどん除草剤を撒いて雑草を根絶やしにできる、ということ)と、虫が食べると死ぬ(その虫を駆除する農薬は不要になります)殺虫性作物の2種。遺伝子組み換え作物は、人の「食」に初めて登場した食べ物で、しかも登場してからまだ10年ほどしかたっていません。そのため、安全性の面でもまだわかっていないことが多く、また特許品種なので一部の世界的メジャー企業の農業支配強化につながることや、一般の品種への遺伝子汚染(交雑)の可能性も指摘されています。
こうしたことから有機農業ではこの遺伝子組み換え作物を認めていません。有機JASの規格でも、使用は厳しく禁止されています。

Q14 ポストハーベスト農薬って何?どんなことが問題なの?

「ハーベスト」とは「収穫」のこと、「ポスト」は「後」を意味します。つまりポストハーベスト農薬とは、収穫後の農産物に散布する農薬のこと。
日本では貯蔵穀物の害虫駆除をする燻蒸にごくまれに使われる程度ですが、外国では農産物を長期保存したり輸送する間の害虫やカビの発生を抑えることなどを目的に、広く使われています。つまり、外国から遠路はるばるやってくる輸入農産物には使われている可能性が大。日本では使用を認められていない農薬が使われていたり、農薬が残留しやすいことなどから、問題視されています。

Q15 畜産物や水産物の有機JAS認定制度は作られないの?

肉や卵、牛乳などの畜産物に関しては、すでに規格が作られ、今年(05年)の秋頃には告示されるのではと言われています。飼料は有機のものを使うこと、ホルモン剤の不使用や抗生物質の使用はやむをえない場合のみ必要最小限に抑えること、動物にストレスを与えない飼育環境などが定められました。早ければ、05年度の終わり頃には有機JASマークのついた肉や卵がお目見えするかもしれません。
ただし、農産物の有機JAS規格とは少々異なるところもあります。それは、有機JAS認定をとっていない場合にも、「有機」や「オーガニック」を名乗ることができる点。ですから、本当に信頼できる品を求めたいなら、有機JASのマークを必ず確認することが大切です。
また、水産物に関しては、今のところ認定に関してはまったく未定です。ちなみに、有機の認定では、どう育ってきたかが明らかな「トレーサビリティ」(出所追跡)がたいへん重要ですから、水産物の認定制度では対象は天然ものではなくトレースできる養殖ものが中心になります。

Q16 オーガニックの考え方がいちばん進んでいる国はどこ?

どこがナンバーワンか、というと難しい問題になってしまいますが、やはりすすんでいるのはEU(欧州共同体)の国々でしょう。なかには、イタリアやドイツのように、有機には限りませんが一定の基準を上回る環境保全型の農業を行っている農家に、補助金を出している国もあります。イギリスにも、形は違いますが補助金の制度があり、これらの国では有機農業がたいへんに伸びました。
遺伝子組み換え作物発祥の地であるアメリカは、まったく無頓着な人たちが存在する一方で、有機を志向する人たちの意識は非常に高く、両極端なのが特徴です。20年前の時点で、どんなスーパーにも必ずオーガニックのコーナーが設けられていました。最近では、BSEの問題が持ち上がった影響で、有機畜産物の売れ行きがたいへんに伸びているそうです。

Q17 輸入品の有機表示は?外国のオーガニック表示って信用していいの?

日本の有機JAS制度は、外国からの輸入品も対象になっています。輸入品であっても、農産物や農産物加工食品は有機JAS認定を受けていない限り、「オーガニック」の表示はできません。その場合にはなんと「オーガニック」の表示を消すか、表示のないものにパッケージし直さなければならず、なかなか厳しく規制されています。
では、どうすれば有機JASの認定が受けられるのでしょうか。有機JASと同等かそれ以上の有機規格を設けているEU、アメリカ、オーストラリア(同等国といいます)で有機と認められている品を、有機JASの認定を受けている業者が輸入すればOK。「オーガニック」も名乗れますし、マークを表示することもできます。もうひとつ、現地に有機JASの検査員が検査に行き直接有機JASの認定をとるという方法もあります。同等国以外の国では、この方法をとるしかなく、有機JAS認定はかなりの大仕事になります。
ちなみに、もしも外国に行く機会があって現地で買い物をする場合、この同等国やニュージーランドなどの製品であれば、オーガニックの表示は十分信用できます。パッケージのORGANICの文字を確認してどうぞ安心してご購入を。

 



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